野原に広がるシロツメクサは日本に元々いるようでいて、江戸時代にやってきた外来種である。オランダから長崎に輸入されたガラス製品の梱包(こんぽう)材に使われていた。詰め物にしたからツメクサ。四つ葉のクローバー探しでも愛されるようになった▼
人間の都合で連れてこられたのは、アメリカザリガニも同じだ。1927年に食用ガエルのえさとして輸入された。ふるさとルイジアナ州の沼地に日本の田んぼが似ていたため、盛んに繁殖ができた▼
ザリガニを釣った記憶が長くたっても鮮明なのは、あの真っ赤な色ゆえか。子どもたちに愛されるのは今も変わらないが、生態系への影響が強く指摘されるようになった。ハサミで水草を切り、魚の産卵場所を脅かしているという▼
環境省が特定外来生物に指定し、輸入や販売そして野外に放すのを禁止する方向だと先日の記事にあった。規制は早かれば2023年に始まるという。何らかの手を打つことは必要だとしても、子どもたちのザリガニ釣りまで禁じることのなきよう▼
小学校を舞台にした灰谷健次郎の『兎(うさぎ)の眼』に、先生が教室にザリガニを持ち込み、みなを驚かせる場面がある。「ぼくはじっとじっと見た……赤いやつが出た。ぼくは鼻がずんとした。サイダーを飲んだみたい、ぼくは心がずんとした」。一人の子の作文である▼
子どもたちが生き物に触れ、自然の面白さを知ること。大人たちが生態系を守ること。どうバランスを取っていくか、ザリガニが問いかけている。
人間の都合で連れてこられたのは、アメリカザリガニも同じだ。1927年に食用ガエルのえさとして輸入された。ふるさとルイジアナ州の沼地に日本の田んぼが似ていたため、盛んに繁殖ができた▼
ザリガニを釣った記憶が長くたっても鮮明なのは、あの真っ赤な色ゆえか。子どもたちに愛されるのは今も変わらないが、生態系への影響が強く指摘されるようになった。ハサミで水草を切り、魚の産卵場所を脅かしているという▼
環境省が特定外来生物に指定し、輸入や販売そして野外に放すのを禁止する方向だと先日の記事にあった。規制は早かれば2023年に始まるという。何らかの手を打つことは必要だとしても、子どもたちのザリガニ釣りまで禁じることのなきよう▼
小学校を舞台にした灰谷健次郎の『兎(うさぎ)の眼』に、先生が教室にザリガニを持ち込み、みなを驚かせる場面がある。「ぼくはじっとじっと見た……赤いやつが出た。ぼくは鼻がずんとした。サイダーを飲んだみたい、ぼくは心がずんとした」。一人の子の作文である▼
子どもたちが生き物に触れ、自然の面白さを知ること。大人たちが生態系を守ること。どうバランスを取っていくか、ザリガニが問いかけている。